意外と知らない、ちょっとおトクな付加年金

年金制度については最近まで、「横浜駅のようなものだ」と漠然と思っていた。すっかり完成しているように見えて、しかし毎年のように微妙に変化しており今もって完成していない。時勢に臨機応変に対応することを繰り返して今に至るのだろうが、確実に言えるのは、とてつもなく『複雑な制度』ということだ。そうなると必然的に、あまり知られていないが有益なルールが埋もれていることがある。付加年金は、その中でも筆頭かもしれない。

付加年金制度とは、月々の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして支払うだけで、給付時に納付月数×200円が年額に上乗せされる、という制度。簡単に言えば、基礎年金にオマケ程度の上乗せをさせる、という趣旨になる。厚生年金や国民年金基金による上乗せに比べれば、全く勝負にならないものの、一応は上乗せしている気分は味わえる。また、すぐに元を取れてしまうところも利点。制度設計上、支払った付加保険料額を2年間で回収できる。例えば、360カ月（30年）分の付加保険料を支払うとその合計額は144000円だが、付加年金の給付額は年額72000円となり、2年でキレイに元を取れる。

月額換算すると、6000円も増加。大変お得である。付加年金は国民年金が給付される限り永久に上乗せされ続けるので、とても有利な制度ではある。

対象は、第1号被保険者（自営業者、フリーランス、20歳以上の学生等）と65歳未満の任意加入被保険者（海外居住者含む）。厚生年金との同時加入はできないので、被用者として人生を過ごす人にはあまり関係ないかもしれない。しかし、被用者以外の時代に納付した分は有効なので、人生のどこかで会社の後ろ盾がなくなった時、少しは意識してもいいかな、とも思う。負担をほとんど気にせず、気軽に続けられる制度だからだ。前納もできる。手続や問い合わせは、お近くの区役所や年金事務所等で。あまりに知名度が低く怪訝な反応を示される可能性が高いので、あしからずご了承を…