2010年代後半から注目されるようになった「きょうよう」と「きょういく」。シニアにとって、この二つは単なる言葉遊びではありません。「今日用」は日々の生活に活力をもたらし、「今日行く」によって社会的つながりが保たれます。
今回は、これらの要素に適度な運動というオマケまでついた『ガイド付き史跡巡り』をご紹介します。
近所の自治会掲示板に貼られた「鎌倉史跡巡り」というイベント名にそそられて、指定の日に鎌倉駅時計台下に出かけました。個々にイヤホンを渡され、15人に達するとガイドさんの案内でグループ毎にスタートします。事前申込以外に何の手間もかからない気軽さで、シニアには理想的なアクティビティです。鎌倉には、有名な社寺が数知れずありますが、この日は鶴岡八幡宮や大仏様、長谷観音には目もくれず、人影まばらな大町、扇ガ谷界隈を探索しました。今や便利なアプリで情報収集はいとも簡単にできます。
でも、私がお薦めしたいのは、ガイド付きツアーです。生身のガイドさんの話で、訪れる場所の理解が格段と深まります。また、オーバーツーリズムには縁のない穴場スポット紹介もガイドさんの腕の見せ所です。時には、国宝級の秘宝や仏像に相まみえる光栄に浴することもあります。時間が経つにつれ、グループ内での会話が弾み、共通の趣味を持つことで心のリフレッシュを実感できました。
これまで、家族のため、会社のため、社会のためと「自分の好き」を封印してきた人たちが思う存分自分に投資できるのがシニアの特権です。と言っても、慣れていない人が新しい知識や経験を得るのは勇気のいることです。繰り返しの日常中に「きょうよう」「きょういく」を上手に取り入れて、ちょっぴり達成感を得られる非日常を創造していきましょう。
地域ボランティアグループや観光協会が初めての一歩になります。
苔のきざはしは 史実がロマンにすり替わる冥途道
我に耳打ちするのは千年の声 我を導くは朽ちなんとする庵
人、今生に磨くをもって 心果つることなしと覚ゆ
とみ子