遺言書とは、自分が亡くなったときに、自分の財産を、誰にどのように分けるのかを記載した書面です。遺言書には、公証人が作る公正証書遺言と、自分で書くという 自筆証書遺言があります。
公正証書遺言は、公証人という専門家と証人2名の前で作りま すので、無効とされることはほとんどないといえます。他方、自筆証書遺言は、遺言書を書く人が、①全ての文章と、②書いたときの年月日、③氏名、④のすべてを自分で書き、④ハンコを押さなければならないとされています(民法968条第1項。例外第2項参照)。
上記要件以外に、遺言書を書いたときに、遺言書を書く判断能力(遺言能力)がなかったから、無効となる場合があります。 例えば、夫が、妻に自宅を相続させようと遺言書を書いたとこ ろ、夫が高齢で、認知症になっていたような場合ですと、遺言能力がないときに書いたから無効となる場合があります。 仮に、夫婦二人の間に子どもがいなくて、 夫には妹がいたような場合、遺言書が無効となりますと、夫の妹は、法定相続分として財産の4分の1(民法900条第3号)を相続します。
遺言能力が裁判で争われたとき、長谷川式認知症スケールや MMSE(ミニメンタルステート検査)という検査結果が証拠とさ れることがあります。 これらの検査では、年齢はいくつですか、 今日は何曜日ですか、100から7を引くといくつですか、など の質問があり、正解できたら1点などの点数がついて、30点のうち何点を取れたかで表されます。
例えば、検査結果により認知症でないとされた場合、この検査結果と一緒に遺言書を保管しておくのも一つの方法といえます。
遺言書は、自分が亡くなったときのことですので、あまり考えたくないのですが、 万が一、残った人の間で、遺産の争いになってしまうと、解決するまで長い時間がかかったり、費用や労力が 多くかかってしまうことがあります。
そのようなことがないよう遺言書を作っておくことは良いと思います。
古西法律事務所
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古西達夫
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