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返済や時効はどうなる? 口約束の借金の取り扱い

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友人や知人、親族などの親しい間柄でお金の貸し借りをする際、口約束だけで済ませてしまうことがあります。借用書などの書面を作成するのは気が引けますし、信用できる相手だから大丈夫だと考える人もいるでしょう。しかし、この気軽な口約束が、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。また、口約束で書面がないからといって、返済義務がなくなるわけでもありません。今回は、口約束の借金についてのリスクやトラブル回避の対策などを紹介します。

口約束の借金でも借主は返済義務を負う

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お金の貸し借りは、日常生活のさまざまな場面で発生します。たとえば、友人との食事代が足りなくなった際に「今度、返すから」とお金を借りるケースや、「今月、散財しすぎちゃって」という会社の同僚に一時的に現金を貸すといったケースなどが考えられます。

こうした身近なお金の貸し借りの多くは、お金を貸す「貸主」とお金を借りる「借主」という当事者間の信頼関係に基づいており、書面を交わさずに口約束だけで貸し借りを行うことも少なくありません。しかし、口約束のみの借金は、返済を巡る認識のずれや、言った・言わないの争いを引き起こす原因になることがあります。

なかには、口約束だったせいで、借主からなかなかお金を返してもらえない場合もあるかもしれません。その場合でも、借用書を交わしていないからといって泣き寝入りするのではなく、相手に返済を促しましょう。

借主にしても、「借用書がないから、返さなくてもよいだろう」と考えるのは誤りです。日本の民法では、借主が貸主からお金を借りた時点で「金銭消費貸借契約」という契約が成立しており、借主は契約が成立した時点で将来的な返済義務を負うことになります。つまり、口約束であっても、「金銭の受け渡し」があり、「返済の約束をしている」のであれば、借金が成立しており、借主はお金を返す必要があるということです。貸した事実と借りた事実が存在し、当事者間でその認識が共有されていれば、返済義務がなくなることはありません。

借金を踏み倒されそうになったらどうする?

貸主が借主から期限までにお金を返してもらえない場合は、まずはすぐに連絡を取り、返済を求めましょう。相手の勘違いなどで、すぐにお金を返してもらえるのであれば、それに越したことはありません。しかし、万が一、相手が「借金なんてしていない」と主張してきたら、どうしたらよいのでしょうか。口約束の借金の大きなリスクは、借用書がないため、貸し借りの時期や借金の金額、返済期日といった重要な契約内容があいまいになり、借金を踏み倒されてしまう可能性があることです。

ただし、借用書を交わしていなかったとしても、メールやLINEでのやり取り、金融機関への送金記録、通話記録、その場にいた第三者の証言などが、借金があったことの有力な証拠になります。まずは証拠を相手に提示して、根気強く催促を行いましょう。

それでも、お金が返ってこないのであれば、返済を求める内容証明郵便や簡易裁判所に申し立てる「支払督促」、60万円以下の借金の請求に有効な「少額訴訟」などの手段を講じる必要があります。こうした民事トラブルは、民事不介入の原則により、原則として警察に相談することはできません。まずは、無料の法律相談が可能な法テラスや、弁護士会などに相談することをおすすめします。

また、口約束の借金で注意したいのは時効です。口約束の借金も、ほかの債権と同様に、時効によって消滅する可能性があります。2020年4月1日に施行された「民法の一部を改正する法律(改正民法)」により、債権が消滅する時効の期間は、原則として「債権者が権利を行使できることを知った時から5年」か「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い方となります。

一方で、時効になっても自動的に返済義務が消滅するわけではありません。

時効になった段階で借主が「時効援用」という意思表示をすることで、初めて返済義務が法的に消滅します。時効援用は、口頭でも可能ですが、証拠を残すために一般的には内容証明郵便などの書面で行われます。さらに、時効期間の進行中に、借主が「必ず返済します」と貸主に約束したり、借金の一部を返済したりした場合などには、借主が債務を承認したとみなされ、時効期間がリセットされ、再び新たな時効期間が進行することになります。

ただし、口約束の借金の場合、いつから時効が進行するのか、債務の承認があったのかどうかなどがあいまいになりやすく、時効の成立を巡って争いが生じる可能性もあります。そのため、やはり親しい間柄であっても、借用書を交わすことを強くおすすめします。借用書がむずかしい場合には、金額、返済期日、返済方法などの詳細を口頭だけでなく、メールやLINEなどで記録に残すようにしましょう。

口約束の借金は手軽に行われがちですが、そのあいまいさゆえに、後々深刻なトラブルに発展する可能性があることに留意し、できる限り明確な「貸し借りに合意した」という当事者間の証拠を残すことが重要になります。

※本記事の記載内容は、2025年6月現在の法令・情報等に基づいています。