街が緑に包まれる季節になると、さらに豊かな自然を求めたくなります。そんな思いに導かれ、私は「よこはま動物園ズーラシア」へ足を運びました。動物園は、大人にとっても心躍る秘密基地のような場所です。かつて幼い子どもと訪れた景色は変わらずとも、70歳を過ぎた今、動物たちとの向き合い方は大きく変わりました。生物多様性を学ぶには、まさに最適な場所です。
訪問前に調べたところ、私が訪れる予定の5月28日(水)は「世界カワウソの日」とのこと。思わず「うっそー!」と笑ってしまいました。さらに、2024年11月18日に生まれたホッキョクグマの赤ちゃん「ライ」が、2025年5月14日から一般公開されたという嬉しいニュースも。また、サバンナゾーンでは、肉食動物と草食動物が同じエリアで共存するという驚きの展示方法が採用されていることも知りました。これらの情報だけでも、訪れない理由が見当たりません。
当日は、薫風が心地よい絶好のピクニック日和でした。まずはホッキョクグマの展示場へ。案内板の前には長い行列ができており、その人気ぶりに驚きつつも、数十分待って母子グマの姿を目にすることができました。大きな水しぶきを上げて泳ぐ姿は、まさに圧巻。観覧時間は数分と限られていましたが、見逃さずに済んで満足です。

次にカワウソの水槽へ。ちょうどガイドさんがカワウソの生態について説明している時間帯に遭遇し、これまで知らなかった情報に耳を傾けることができました。大人としての視点で学ぶことの大切さを改めて感じました。
最後に「4種混合展示」を見学。サバンナゾーンの草原エリアでは、肉食動物のチーターと草食動物のキリン、エランド、グラントシマウマが同じ空間で共存しています。チーターは単独で狩りを行い、自分より大きな動物を襲うことはないため、他の動物たちと平和に過ごしているとのこと。この日もチーターは木陰でゆったりとまどろんでいました、飼育員さんたちが長い時間をかけて導き出した展示方法のお陰で、私たちは動物たちの社会性や生態を間近で観察することができるのです。

ズーラシアで絶対に外せないのが、世界三大珍獣の一つであるオカピです。見た目はシマウマのようですが、実はキリンの仲間で、1901年まで確認されなかったという奇跡の珍獣です。その不思議な姿は、まさに森の精霊と呼ぶにふさわしい佇まいでした。
東京ドーム約10個分の広さを誇るズーラシアでは、動物たちや木々、風が日常から離れた世界へと誘ってくれます。それでいて、知的好奇心と感性を刺激する場所でもあります。ここは、大人が静かに自然と動物たちと向き合える場所。心をリセットしたい時に、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
