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知らずに使ったら罪に問われる? もしも『偽札』を見つけたら

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2024年7月3日から、新しいデザインの紙幣が発行されました。

一万円札の肖像は「近代日本経済の父」と呼ばれた渋沢栄一、五千円札は津田塾大学を創設した津田梅子、そして、千円札は破傷風の治療法を開発した北里柴三郎となっています。

20年ぶりとなる新紙幣の発行ですが、気をつけなければならないのが、偽造された紙幣、いわゆる『偽札』です。新紙幣にはさまざまな偽造防止技術が使われていますが、必ず偽札が作られないとは言い切れません。偽札を作ることはもちろんですが、偽札と知っていながら使用した場合も罪に問われる可能性があります。万が一、偽札を見つけた際の対処法を把握しておきましょう。

偽札だと知りながら使用するのは犯罪行為

前回、紙幣が切り替わったのは、20年前の2004年11月でした。この翌年の2005年の正月には、全国の神社仏閣、露店などで偽の旧一万円札が出回る事件が起きました。今回も新紙幣に切り替わるタイミングで、旧紙幣をだまし取る詐欺事件が発生しています。これらの犯罪は、新紙幣に違和感があっても受け入れられやすいタイミングを狙ったもので、今後も新紙幣の普及に伴い、偽造や詐欺事件が起きる可能性があります。

2024年7月3日から発行がはじまった新紙幣には「3Dホログラム」や「高精細すき入れ」といった新しい偽造防止技術が盛り込まれていますが、普段から見慣れていなければ、容易に偽札だと判断することはできないかもしれません。もし、知らないうちに財布に偽札が入っていた場合は、どうすればよいのでしょうか。

まず、お釣りなどで入手した紙幣が偽札だと気づいた時点で、決して使用せず、警察に通報するようにしましょう。偽札だと気づいていながら使用してしまうと、刑法第152条に定められた「偽造通貨収得後知情行使等罪」という罪に問われる可能性があります。

偽造通貨収得後知情行使等罪は、その紙幣が偽造されたものだと知りながら、使用したり、使用する目的で人に交付したりする犯罪で、額面価格の3倍以下の罰金または科料に処されます。たとえば、偽造された一万円札を使用した場合は、額面価格の3倍以下なので、3万円以下の罰金または科料に処される可能性があるということです。そこまで重い刑事罰とならないのは、偽札を手にしてしまった被害者という側面があり、同情の余地があるためです。

偽札だと見抜くためには、ホログラムやすき入れといった見分けるポイントを把握しておきましょう。そして、もし偽札を発見したら早急に警察に通報し、どの時点で気づいたのか、どこで入手したのかなど、できる限り状況を伝えることが大切です。偽札を本物に取り替えてくれるような救済措置などはないので、残念ながら偽札をつかまされた場合は泣き寝入りすることになってしまいますが、犯人が捕まれば犯人に対して損害賠償請求をすることができます。

紙幣の偽造は非常に重い罪に問われる

たまたま流通していた偽札を使用する分には、軽い刑事罰で済みますが、みずから紙幣を偽造したり、偽造した紙幣を使用したりすると、とても重い刑事罰が科せられます。ちなみに、紙幣に限らず、10円玉や100円玉などの貨幣なども含む「通貨」はすべて偽造が禁じられています。

紙幣や貨幣の偽造は通貨の社会的な信用を毀損する行為であるため、刑法第148条に定める「通貨偽造罪」として、無期または3年以上の懲役刑に処されます。また、偽造した偽札を使用すると、「偽造通貨行使等罪」として同じく無期または3年以上の懲役刑に処されることになります。執行猶予がつくこともありますが、状況によっては実刑判決が言い渡されることもあります。

注意したいのは、紙幣などのデザインを商品や印刷物に使用する場合です。今、話題の新紙幣のデザインをグッズやパンフレットに使いたいと思う人もいるかもしれません。しかし、紙幣と紛らわしい物の製造や販売は「通貨及証券模造取締法」によって禁じられており、偽札を作ることが目的ではなくても、罪に問われる可能性があります。同法の法定刑は1カ月以上3年以下の懲役刑と、決して軽くはありません。本物に類似させる「偽造」ほど罪は重くありませんが、第三者が誤認する可能性のある「模造」も罪になるということです。

このように紙幣は、法律で偽造や模造が固く禁じられています。2022年には、家庭用プリンタによるカラーコピーで紙幣を偽造した学生が逮捕されています。たとえカラーコピーやプリンタからの出力であっても偽造や模造に該当する可能性があるので、絶対に行わないようにしましょう。

※本記事の記載内容は、2024年8月現在の法令・情報等に基づいています。