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相続した不要な土地を手放せる『相続土地国庫帰属制度』とは?

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所有者不明土地の解消に向けて民事基本法制の見直しが行われ、2024年4月1日から相続登記の義務化が始まりました。この義務化によって、原則として相続人は不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。しかし、土地はただ所有しているだけでも固定資産税や管理費用などがかかるものです。

そこで、相続した土地を手放したい人に向けて、国が土地を引き取る『相続土地国庫帰属制度』が創設されました。不要な土地を相続した人のために、制度の概要や利用するための要件を解説します。

使わない土地を国に引き渡す制度が誕生

土地は利用していなくても、所有しているだけで毎年のように固定資産税や管理費用などがかかります。国土交通省が公表した『平成30年版土地白書』では、約42%の土地所有者が「土地を所有することに対する負担」を感じていることがわかりました。

コスト面はもちろん、現在の住居地から遠く離れていたり、管理が行き届かなかったりすることから、相続した土地を手放したいと考える人は少なくありません。しかし、利便性や利用価値の低い土地は、たとえ『0円』でも売れる可能性は低く、簡単に処分できないことがほとんどです。

そこで、そうした土地が管理できずに放置されてしまわないよう、相続した土地の所有権を国庫に帰属させることのできる『相続土地国庫帰属制度』が2023年4月27日からスタートしました

相続土地国庫帰属制度は、一定の要件を満たした場合に利用できますが、対象となるのは、あくまで相続や遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部または全部を譲ること)によって土地を相続した相続人に限られます。また、相続登記をしていなくても制度を利用できますが、その場合は申請書に所有者であることを証明する書面を添付しなければいけません。そして、土地が複数の相続人による共有地の場合は、共有者の全員で申請することで、制度が利用できます。いずれの場合も、制度を利用するには、申請書を作成して法務局に提出する必要があります。

国庫帰属できない土地と制度外での処分方法

法務局に申請して国庫への帰属が認められると、相続人は10年分の土地管理費相当額となる負担金を国に納付する必要があります。負担金は原則を20万円として、『宅地』『田・畑』『森林』『その他』という4つの区分と、土地の面積に応じて算定されますが、将来的な固定資産税や管理費用などの支払いと比べると、結果的に少ない負担で済むケースがほとんどです。承認を受けてから30日以内に負担金を納めれば、土地を国庫に帰属させることができます。

一方で、国庫に帰属させることのできない土地もあります。どのような土地でも国に引き渡せるわけではなく、以下の土地は申請した段階で却下されてしまいます。

  • 建物が建っている土地
  • 担保権または使用および収益を目的とした権利が設定されている土地
  • 通路など土地所有者以外の者の使用が予定される土地
  • 特定有害物質により汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地、所有権の存否、帰属または範囲について争いがある土地

また、申請後には法務局が申請書に基づき、審査と現地調査を行なって承認・不承認を判断しますが、一定の勾配・高さがある崖や土地の管理・処分を阻害する樹木のある土地、公道に通じていない土地、災害が発生する可能性のある土地などは承認されないので注意が必要です。これらの土地は相続しても、国庫に帰属させることができないため、別の処分方法を考えなければいけません。

本制度以外の処分方法としては、『民間売買』『自治体への寄附』『相続放棄』などがあげられます。

不動産会社を介した民間売買は、土地を売った代金を得ることができる一方で、条件に合う買い手を見つけるのがむずかしいという問題があります。寄附も自治体によって要件はさまざまですが、なかなか受け付けてもらえない可能性があります。相続放棄は家庭裁判所の手続費用が安く、一人で手続きができるというメリットはありますが、土地だけではなく、預貯金などほかの財産も手放さなければいけないというデメリットがあります。

ほかにも隣地の所有者への無償譲渡や、不動産業者に有料で買い取ってもらうなどの方法がありますが、いずれも懸念事項があるため、専門家に相談するなどして慎重に判断しましょう。

アクセスが悪かったり、利用価値が低かったりする土地は『負』動産ともいわれ、相続した人の大きな負担になります。処分せずにいると、自分はもちろん、子どもや孫の代まで負担を強いることになってしまいます。

法務局では対面や電話などによる相談を受け付けているので、相続した土地の処分に困ったときは、まず管轄の法務局に相続土地国庫帰属制度が利用できるかどうか、相談することをおすすめします。もし、相続した土地が遠方にある場合などは、近くの法務局でも相談できるので、一度、連絡してみましょう。

※本記事の記載内容は、2024年7月現在の法令・情報等に基づいています。